その部屋は、東側に大きい窓がある、白い、というよりは灰色のコンクリートが露出する造りであった。
特に、その部屋には目を引く様な洒落た家具は無く、同時にポスター、コンポ、果てはテレビまで視聴覚に訴える物は、無い。
あるのは、
設計上元々部屋に付属されているキッチン。白い無機質なベッド。珍しい左利き用の冷蔵庫。そして何の変哲も無い背もたれつきの木椅子。それらだけだった。
部屋の主である彼は、椅子に座ったまま重心を預け、寝ていた。
手には推理小説。之もまた面白いことに目を引くような題字ではない。大方読書中に瞼が重くなったのであろう。
今日は、休日だ。彼にとっても国民にとっても、極一般的な。
彼はこの貴重な時間を寝て過ごすようだ。
起きる気配は全く、無い。
この一日も、もう終盤だった。
窓からは、燃えるような紅い夕日が差し込んでいる。
本当に空の天井が真っ赤に塗られたような、そんな夕焼けだった。
鴉が、鳴いていた。
突如、ドアがノックされる。
こんな陳家なマンモスマンションの一室に態々脚を運ぶなど、彼と関係のある人物でなければありえない。
泥棒という線もあるが、金を持つものがこんな処に住むであろうか。ノンだ。
「開けるよ!」
綺麗な、高く透き通る声が響く。
彼はそののんびりとした性格からか、施錠を怠っている。そして彼女はそれを承知していた。
バタンと派手な音をたてて扉を閉めた彼女は、彼の寝顔を見て一瞬微笑んだ後に、呆れた顔をする。
「ホリデーの意味ってのがわかってないんじゃない?」
そう言って、ほっぺたをつまんだ。
「おきろぉーーーっ!!」
「ぐぅ・・・・・・」
彼の寝起きが悪いのは常であった。それにも増して今日は酷い。
「まったく・・・。早く起きないと、ハリセンでハタくよ」
・・・彼女はおもむろにどこから取り出したかハリセンを振り上げた。
最高位置。
それは振り下ろされた。
「ぐぅ・・・・ぐっ!!」
スパァーンッ!!
擬音語で表せば妥当なところであろう。これ以上ないという程爽快な日本関西特有の音が鳴り響いた。
「・・・うぅん・・・・えっと、あっ、オハヨウ。どうして僕のうち・・」
そう言って笑う彼に、彼女は、その美しい顔を引き攣らせた。しかしそれは一瞬で、すぐに顔がにやけたまま固まる。
目が、笑っていない。
ハリセンが振り上げられた。
彼女はもう一度先ほどと同じように、否、より速い速度で、より洗練された軌道で、ハリセンを振りおろす。
あらかじめ説明しておくが、ハリセンをなめてかかってはいけない。最適速度、最適角度でハタかれては、なんでやねん、では済まないものがある。世界常識だ。
何重にも折り合わされた紙が、空を切る。
急激なベクトルを加えられたそれは、既に、只の紙を超越した絶対存在へと進化していた。
強いて言うならダイヤモンドだろうか。いや、鈍器ではない。衝撃を確実に相手へと与えるが一箇所に突発的高圧力がかかったりはしない。
ここに相方の技量が必要なのだ。その丁度良いハタき具合は、並の人間には真似できない。
勢いよく突っ込まれてはいるが、怪我はしない。その力加減。
より客に笑っていただけるよう、芸人は苦労しているである。
・・・・・余談だが、ハリセンボンの歌、というものが存在するらしい。
時は動き出す。
ッスッッッパアアアアアアアアァアンッッッ!!!!!
「ぎゃあああああぁああああぁぁ・・・・」
彼はもっと悲鳴をあげたかったが、その前に喉が枯れてしまったようだ。しかしまだ流血しなかっただけマシな方ではないだろうか。
軽く脳震盪を引き起こした彼は意識が朦朧とするなかで、
ああ、そういえば今日はデェトなるものを行う予定だった・・・・・。
と、思い出した。
三半規管がやられたか、身体のバランスを維持できなくなる。
左上斜め方向へと移りゆく景色に、短針が完全に下へ傾いている時計が、彼の目に映った。
「また、寝ちゃっ・・・・・・」
後書き。
パロディ。即興。話が出鱈目。文法が可笑しい(誤植ではない)。読点打ちすぎ。最初はねちねちねちねち描写文入れようと思ってたのになぁ・・・
文句を言えば数限りないですが。
即興・・・とりあえずハリセンが出せたので満足☆(あくまでフィクションです)
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