No.55 (修正済)

2004/02/09(月) 22:55:05

夜神

 

第2章 1話(勝手に2章にしちまいました)

 

───闇───
そこは真っ暗だった。
何も見えない。 
漆黒の世界。
その中で一人の少女が走っていた。
何処まで行っても先は見えない。
「ハァハァハァ」
少女は肩で息をしながら立ち止まった。
「ここは何処?」
少女は何もない闇に聞いた。
「ここは君の望んだ世界。何もない無の世界…」
低く暗い声だった。
呼びかけるような。
訴えるような。
その声は誰かが言ったものなのか…
少女の頭の中に響いてきたものなのか…
「違う。ちがう。チガウッ!!」
少女は考えた。
これは夢?
過去?
現在?
未来?
答えてくれるモノはいない…


「カノン起きなさい!!」
「ん…」
少女はゆっくり目を覚ました。
さっき見ていた夢の内容は覚えていない。
まだ眠いようで、起き上がって目をこすっている。
「ふぁーぁ。お母さんおはよう。あ、今日から学校か。久しぶりだし、楽しみだなぁ」
私の名前はカノンとナディア。
カノンはお父さんとお母さんがつけてくれた名前。
ナディアは私の大切な人がつけてくれたらしい。
と言っても昨日教えてもらったところで、大切な人が誰だかは知らない。
お父さん達も知らないらしい。
昨日まで私は『黒の牙』と言う組織に誘拐されていた。(昨日私が帰ってきて父と母は大騒ぎにおお泣きだった)
誘拐された時のことは憶えていない。
理由はわからないけど、記憶の一部を失ったからだ。
変な記憶喪失で、親の名前はわかるのに自分の名前はわからなかった。
でも、何で私が誘拐されたんだろう?
私じゃなくても優秀な人はいっぱいいるのに(少女は天才だが、成績はそれほどらしい)
昨日、私を助けてくれた人達は一通りのことは教えてくれたけど、理由については教えてくれなかった。
それに私の名前を教えてくれた人、何者なんだろう?
ヤクラさんかなり怒ってたけど、誰もあの人のこと教えてくれなかったし。
でも、どこかで会ったことがあるような、無いような。
思い出せない。
「まぁいっか。早く学校行こう」
ナディアは一通り考えた後、結論を出さなかった。
どうやらあまり深く考える性質ではないらしい。

その頃ヤクラは
「何で俺が学校なんか行かなくちゃならないんだ?」
ぶつくさ言いながら、制服に着替えていた。
昨日三人で話し合った結果、ヤクラが学生になって、ナディアの見張りにつくことになった。クリス曰く、
「私は『黒の牙』について詳しく調べる。カールは校長として生徒の安全を守る。そしてヤクラはナディアの側に付いて彼女を守る。それに君は暇人だし童顔だし。ピッタリだろ?」
だそうだ。
ちなみにヤクラも口ではああ言っているが、あんな可愛い子なら見張りも悪くないと思っている。
むしろ悦んでいる。
「じゃぁ水鬼、行ってくる」
「行ってらっしゃいませ」
ヤクラは鼻歌を歌いながら上機嫌で出て行った。

あんな機嫌のいいヤクラさまは珍しいです(水鬼談)

 

No.56 (修正済)

2004/02/10(火) 20:29:03

少年アリス

 

第2章 1・5話水鬼サイド(ちょっと水鬼の性格を出してみた)

 

ヤクラ様が出かけた後、部屋の掃除をしに研究室に向かった。
向かう途中電話のベルが鳴った。

「もしもしぃー、水鬼ちゃん?」
少々フザケがちな喋り方で男性が出る。
この声と私の名前を知っている人物は只1人。
「どうなさいましたカール様。ヤクラ様ならもうお出になられましたが?」
「あぁ、今日はキミに話があってね」
私に?
またデートのお誘いだろうか・・・・・?
「今日から暫くヤクラを借りるが・・・・キミも来ないか?」
・・・・・・・・・・・
「何故、でしょうか?」
理解に苦しむ。
この人はヤクラ様より深く考え、先を読み、戦法を考える人だ。
その戦法の中に私が組み込まているのだろうか?
「ヤクラ1人を動かすとなると、俺だけじゃ少々役不足でね。ヤクラの押えとして来て欲しいのだよ」
「・・・・・・」
何かを隠している。
何か確証がある訳でもないけれど、私の勘がそう言っていた。
「・・・・何を・・・隠しているのですか?」
直球で聞いてみた。
「フフ・・・くははは
はははは、鋭いねー・・・ウチ(学院)は一応一流の看板下げてるからその校長は色々な所に行かなくちゃ行けない訳なのよ。で、ヤクラが入学するまでは学園に居られるんだけど、その後は仕事上学園内に居られない訳よ。だからさ、水鬼ちゃんと、ウチの焔ちゃんと一緒にヤクラのフォローして欲しいの」
そう言う理由か・・・・
「解りました・・・ですが、私が生徒、と言うのは少々・・・・」
「あぁ、それなら大丈夫。水鬼ちゃんにはねぇ──────をやってもらうから」
「私が、ですか!?」
そ、そな大胆な行動をして良いのだろうか?
「大丈夫。もうこっちでは準備してあるからさ、ね?お願いだよ」
急に幼げな声で訴えかけてくる。
多分電話の向こうでは、本当に姿が幼くなっているのだろう。
「解りました・・・・努力します」
その後デートのお誘いなどをしてもらったが、丁重にお断りさせてもらった。


「じゃ、明日辺りに来て下さいな、水鬼先生」


こうして、私はカール様の依頼でクルト魔術学院の攻撃魔法の教師になることになりました。
カール様の違和感を残しつつ・・・・・


ヤクラ様、スミマセン。
屋敷は[消しときます]ので。

 

No.57 (修正済)

2004/02/10(火) 23:07:57

少年アリス

 

第2章 2話ヤクラinクルト魔術学院入学テスト会

|続きを書く|

・・・・・・・・
「(コレは・・・いったい・・・・・
どう言う事なんだーーーーーー!!!!!?)」

ちょっと前

俺は、屋敷を出た後、無竜でクルト学院のある森に向かった。
学院の前には少年少女が列を成していて、少々不安になりつつ、最後尾の少女に話し掛けた。
「あの、これは何を待っている列なんですか?」
一応これからここの生徒をする訳だから、怪しまれぬように外見年齢と同じ喋り方をする。
怪訝そうに、又は、鬱陶しそうに15、6の少女はコッチを睨みこう答えた。
「アンタ馬鹿?この場にいる人間はココに入学したい平民どもに決まってるじゃない」
入学したい平民?
「入学?」
思っている事を言ってしまった・・・・
常に常人に対してはポーカーフェイス、何でも知っている顔でなくてはならない。
そんな師匠の言葉が頭を過る。
「あ、アンタそんな事もしらいでここに並んでいるの!?」
呆れたような、哀れみのよう、馬鹿にしたような複雑な顔で見下してくる。
何か・・・・クリスみたいなヤツだな・・・・・
そんなことを思っていると列が進み始める。
門が開いたようだ。



中では上級生らしき生徒20人と、教師が7人が立っていた。
「やぁ、迷える少年少女達よ!!・・・・・まぁ前置きは好かんので・・
・コレから、入学テストを開始する!!!!


で、最初に戻る。
「(コレは・・・いったい・・・・・
どう言う事なんだーーーーーー!!!!!?)」



その後、受験番号を渡されテストを受けるはめになった。
俺の受験番号は1029番。


「何で俺が・・・・・・こんな・・・・初歩を・・・・・・そもそも・・・」
ぶつぶつ言いながら列に並ぶ。
さっきの門の前で話した少女が今試験を受けている。

今回の試験は全部で五つ。
一つ目は魔法で、小さな的を破壊する、だ。

少女は右手に魔力を集中させ、直径50cmの氷を具現化させ的を破壊する。
「合格!!」
集中と詠唱時間が少々長いが、質は良いと思う。
後は、氷をもう少し小さくすれば俺的に合格かな。

少女はさも当たり前のように合格表を渡され何故かこちらに向かってくる。
「あんな簡単なもの、誰でも出来るわね」

嫌味か?
コレだったらクリスの方が怖いな。

「次、1029番前へ」
俺か・・・
さて、何でやろうか・・・・・
っと考えていると後から。
「オイ、ヘタレー、無様なのは止せよー」

ピシッ!

利き手の左手に微量の魔力を込め炎を具現化する。
「魔法を使うのは何年ぶりだろうか・・・・・」
刹那、左から放たれたフレイムロアーは的の中心を射抜き、的を燃やし尽くす。

「ご・・・・合格」
審判の先生は驚きを露にしつつ、そう伝えてきた。

「ふむ・・・詠唱にもうすこし時間を掛けないと怪しまれるか?」
ボヤキながら次の試験に行く。
途中少女が悔しそうにこちらを睨んでいたが気付かないフリをした。


「次の試験はヒーリング・・・つまり治癒の魔法を見せてもらう。ここに、練習で傷付いた生徒がいる。この者達の怪我を治せ」

どうやら俺の前の番号の人はあの少女らしい。
今頃気が付いた。
と言うのも、さっきっから俺を睨んでいるからだ。
「何だ?」
聞いても
「何でもない!!」
そう言ってプイっ!とソッポを向く。
なんなんだか・・・・子供って、良くわからん。


んと・・・後の試験は・・・・・ヒーリングに錬金術。
召喚に・・・・何だコレ?
紙には「ひ・み・つ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ウザ

 

No.60

2004/02/29(日) 22:56:06

夜神

 

第2章 3話(いいのか?これでいいのか?)

 

俺は簡単過ぎるテストを適度に手を抜きながら楽しんでいた。
ヒーリングで傷を治すのに何故か生徒を蛙にしてる奴。
錬金術では石の変わりに自分を金の銅像に変えてる奴。
小妖精を召還するはずなのに、ドラゴンを召還して先生を慌てさせる奴。
見ているだけでなかなか楽しい。
泣いている我が子を見て試験管に文句を言っている過保護な親もいる。
「この学校は、試験だけで人を見るんですか?そんなの差別よ。人権侵害よ。訴えてやるわ。こんな学校頼まれたって来てやるもんですか」
いろんな人がいるもんだ。
世の中広いね、とのんきに考えていると
「馬鹿な平民どもが五月蝿いわね。子が子なら親も親だわ」
俺の前の少女は、見下すように言った。(見下すようにじゃなくて見下して、か?)
しかし、さすがにそう言うだけあって魔力はなかなかのものだ。
まだ荒削りだが、鍛えれば言術師にもなれるのではないだろうか。

 


「残る試験も後一つか…」
しかし最後が問題だ。
紙には『ひ・み・つ』と書かれている。
カールのことだ、またよからぬことを考えているんだろうな…
「ハァ…」
俺は憂鬱になり溜息をついた。
「なぁに。試験難しすぎて自信なくしちゃった?」
前の少女が嬉しそうに話しかけてきたが、俺は無視した。
「何よ。平民が強がっちゃって。緊張してるくせに。」
あぁイライラする。
こいつとかかわるとろくなことが無いだろうな。
俺の第六感はそう告げていた。

 


試験を受ける生徒は建物の中に案内された。
建物の中は森だった。
森と言っても結界でそう見えるようにしてるだけで、実際は魔法競技場か何かだろう。
視覚では土を踏んでいるのに、実際には堅いコンクリートのような感じだった。
しかし、踏んだ枯れ木はちゃんと折れてるし、鳥や虫の鳴き声まで聞こえる。
だが、立っている木に触れても感触はなく、つき抜ける。
「虚空虚像(こくうきょぞう)ね。何もない空間にまるであるように見せかける、かなり高度な術。まぁ出来ないことはないわね」
前の少女が全員に聞こえるように言った。
後半部分を言うために説明したような気がするのは俺だけか?


ちょっと歩いたところで案内人はしばらくここに座って待つように言い、立ち去った。
森の中に不自然にきちんと2列に並べられた椅子の上に各々が座る。
誰もしゃべろうとしない。
最後の試験が何か考えているんだろう。
突然あたりが暗くなった。
急なことなので、ざわつく。
そして俺達の目の前に人影が現れ、
「諸君、よくクルト魔術学院入学試験に来た。我がクルト魔術学院、学院長カール・スナックである。これより
入学試験本番を開始する」
宣言した瞬間全員の頭の上に?が浮かんだ。
カールは嬉しそうに一人一人の顔を確認するように見ている。
言術師とバレるとヤバイのかジークリードの名は使わなかった。
「今までのはなんだったんだと思う者がいるかもしれないが、今までのは緊張をほぐすための
お・あ・そ・び
指をチッチッチッと振りながらカールが言った。
俺は頭が痛くなった。
何を言ってやがるこの馬鹿は…
さらにカールは続けて、
「本番試験は二人一組だから、今隣りの奴とペアだから仲良くなぁ」
と言った。
そう言われて、俺は隣を見る。
隣りは…やはりと言うか、なんと言うか…
俺の第六感が危険視するヤツだった。
向こうはこっちを見て、
「最悪、最低、この世の終わりよ。なんで?なんでよりによってこんな平民とやらなきゃならないのよ!!」
それはこっちのセリフだ。
俺は思いっきりカールを睨んだ。

 

No.61

2004/03/05(金) 01:43:41

進凛北

 

第2章 4話

 

 二人一組のペアとなった受験者たちは、ある建物へと放り込まれた。
 先ほどの会場で突然床に穴があき、ヤクラですら抵抗不可能だった罠に全員引っかかるのは当然で、皆暗闇へと落下していった。
 落ちた先はいかにもって感じのダンジョン。しかもご丁寧にペアごとに分けて落としたらしい。お気楽にもパートナーは気絶していた。気付けの言術をかけてもいいのだが、言術を使っている所を見られると厄介なのでやめておく。
 ヤクラは石で出来た壁にそっと手を触れた。
「マジカルボックスとは……カールのヤツはこういうでかい言術を使うのが得意なんだよな」
 マジカルボックス。対象を魔法空間に閉じ込めてしまう言術。この言術は発動するまでに時間が必要で、さらにかなりの体力消耗を伴う。
 術師が解呪しなければ外には出る事は出来ず、力の弱いものは朽ちるまでこの空間に閉じ込められる事となる。
「しかし……魔法空間をこんなに歪めちまうとは……」
 マジカルボックスは空間を作り出すだけの言術。こんなにダンジョンめいた空間にするには更なる魔力が必要となる。さらに複数の人間の同時封印。
 腐ってもジークリードか。
 少し力を出せばこんな空間破る事は可能なのだが、後でどやされそうなので止めておいた。
 その時ダンジョン内にアナウンスが響き渡った。その音に気付き、流石のタカビー少女も目を覚ます。
「諸君。突然の事で驚いていると思うが、まずはパートナーが近くに居る事を確認してくれ」
 カールの声が響き、とりあえずそのとおり確認した。目線が合い、一瞬火花が散りそうになったが無視しておく。
「さて、合格までの道のりは簡単。入学試験前にナンバーバッジを貰ったと思う。もちろん皆それをつけているな。後は簡単。敵からそのバッジを奪い、五つ集まったペアは合格とする。ただし、自分ののバッジは0,5個分しか配点されないので気をつけて欲しい。ああ、それと、もちろんトラップが仕掛けてある可能性は否定できないぞ。では、健闘を祈る」
 アナウンスが消えた。少しばかりこの魔法空間にざわめきが広がった気がした。他の受験者たちの動揺だろうか。
 しかし面倒な試験だ。少なくとも2ペアからバッジを強奪しなければいけない計算になる。
「足手まといにならないで欲しいわね」
 少女の挑発的で見下すような言い方。ヤクラは心の中で深々とため息をつく。挑発には答えず、「お前の名前は何だ?」とさらりと訊いた。
 挑発が流され、少々いらだっている少女が答えた。
「人に名前を聞くときは自分か―――」
「ヤクラ=ウェンドルフだ。……満足か?」
 ヤクラもカールと同じく、通常ではジークリードの名を使わない。この女は下手に聡いから、尚更気を使ってだ。
 座りながら器用に地団太を踏んだ少女は、無精無精名を告げた。
「クリスィード=トッケルンよ」
 クリス、ねぇ。どうやら、クリスと言う女はキワモノが多いらしい。

 

No.62 (修正済)

2004/03/05(金) 04:32:54

少年アリス

 

Re:第2章 5話 戦闘開始!!

 

まぁ、どうでも良いがな。
そう心を切り替えて道具の確認・・・ん?
「アレ?俺の荷物・・・・それにコレは!」

と、スピーカーからまたカールの声が流れる。
「そうそう、言い忘れてたが、諸君の私物、魔道具等はこのダンジョンから出るまで与らせてもらった。その代り、2つの魔道具を皆に渡しておいた。1つは・・・」
俺の荷物の代わりに2つの玉が入った袋があった。
1つは紅い玉。
「紅い色をした玉は、炎球。中級炎魔術が封印された魔道具だ。敵対する相手に投げると勝手に発動する。同様に・・・」
もう1つは水色の玉。
「氷球だ。炎球とほぼ同じで、中には氷の術が封印されている。1人2つ、ここぞとばかりの時に使うと良い」
そこでカールは一息つき。
「では、一分ごとにスタート地点から動いてもらう。ナンバーを呼ばれた順に各自動いてくれ」
そして順々に呼ばれ、最後の1組。
「1028番1029番スタート」

やっとか・・・・
俺の横では頬をプリプリ可愛らしく膨らませて、岩の上に座ってるクリスがいた。
「なんで私が最後な訳?やっぱりこんな平民とだから・・・」
まだブツブツ言ってるよ。
コイツ置いてって適当に狩しても良いのだが、それだと3人も狩らねばならない。
無駄に力や注目を浴びたくないし、何より有力な魔道師を1人でも潰してしまう事になる。
それは惜しい。
有力な魔道師達は俺にとっては研究対象。
1人でも多いほうがデータが取りやすい。
「オイ、クリス、行くぞ」
既に喋り方が普通になってるが別に良いだろう。
「平民が、タメ口・・・それも略称の呼び捨てだなんて・・・・・けがら・・・・」
何か言おうとした瞬間、

キュッン・・・・・・
ッドン!!

俺とクリスの間に放たれた炎と氷を纏った矢が飛んでくる。
岩に座っていたクリスは岩の後に吹っ飛び、小さく「キャッ」と叫び声を上げる。
俺はと言うと、瞬間的にマジックシールド、無色の盾を使う。
矢が纏っていた炎と氷は周りを燃やし、凍らせた。
岩に隠れたクリスは無事だろう。
俺の盾は赤と青に色を変え、また無色に戻る。
[無色の盾]
言術師になる前から使ってきた術で、攻撃属性によって色を変え、ノーダメージにする、絶対防御だ。

にしても今のは・・・さっき渡された炎氷の魔道具を矢に纏わせた術・・・魔具と自分の魔力で作り上げた具現化系攻撃魔術の混合・・・相手はかなりのハイレベル魔術師。
「オイオイ、受験の罠なんてレベルじゃないぞ」
そう、これは受験生達からの攻撃じゃない。
そして、影から現れた[ソレ]はモンスターだった。

 

No.65

2004/03/15(月) 13:11:43

夜神

 

第2章 6話 

 

「ハァハァハァ」
これは俺の声ではない。
クリスの声だ。
酷く息切れしている。
えらそうなくせに体力はない。
単にヤクラがありすぎるだけだが…
とりあえず俺達はあの場から逃げた。
別にモンスターが恐かったわけじゃない。
俺にかかればあんなモンスターごとき、カールの馬鹿に付き合うよりは遥かに簡単なことだ。
しかし、あんまり俺の能力を知られるのは喜べたことではないので一応逃げた。
「何で逃げたのよ!!私にかかればあんなモンスターイチコロよ!!」
はいはいはいはい。うるさいやつだな。
この女は…敵のレベルも計れないのか?
声には出さないが、ヤクラは悪態をつきまくっていた。
しかし、それは無理と言うものだ。第一まだ受験生だし…
「んなこと言ったって。あんなモンスター倒しても、バッジ貰えないし。魔力の無駄だ」
「なによ!!平民が。ビビってるだけじゃない」
「戦略的撤退だ!!」
さっき逃げたのが相当屈辱だったらしい。
黙ったが、まだ何か言いたそうだ
俺はモンスターが追ってきていないか確認した。
よし、こっちの場所には気付いてない。
そう思った瞬間
ドーン
という音と共にモンスターが木っ端微塵に爆発した。
「なに?なに?」
クリスも爆発音のしたほうを見る。
「やぁ。ビビって逃げたお二人サン。でてきなよ」
さっきモンスターが立っていた場所の奥から声が聞こえた。
砂煙でまだ相手の顔ははっきりと見えない。
だが徐々に近づいてきているので、姿は確認できるようにはなってきた。
どうやら、同じ受験生らしい。
二人組みだった。
「それとも、僕らにもビビって出て来れない?」
クリスはその言葉に怒って声のする方に攻撃しようとしたが、俺が止めた。
やっと二人の顔が確認できるくらいの距離まできた。
二人はどうやら双子らしい。
同じ顔をしている。
その上すごい自信を持っているらしい。
シールドも張らずに近づいてきた。
「出てこないなら僕らから行くよ?」
クッ、どうする?
迷ったのでクリスの意見を聞こうと思い横を見た。
しかしそこには誰もいなかった。
どうやら先に飛び出したらしい。
ったく後先考えずに動くやつだ(←ヤクラも人のことは言えない)
「ハァ…世話を焼かせやがって」
そういってヤクラも飛び出していった。

 

No.66

2004/03/15(月) 16:17:28

麻ノ宮鏡

 

Re:第2章 7話

 

1、相手は召喚を得意とし、上級モンスター召喚ができる。
モンスターの形から見て鬼界の鬼という種族だろう。
2、最初の攻撃で魔具を1つずつ使った、もしくは片方が全部使った。
多分残りは1人1つだろう。
それは、片方が不利に陥った場合、盾としてあの魔具を使ったほうが、より生存確率が上がるためだ。
3、相手は俺達を「自分達より弱い」と判断しているのだろう。
俺達が戦闘回避行動を取ったのを弱いととったのだろう。
そして今、シールドを張ってないのは弱いし、怖気着いて、攻撃されても大丈夫であろうと、油断しているのだろう。
そして最後に。
相手は油断をしているが、それなりに頭が良い。
俺達がスタート地点で攻撃されたのを見ると、待ち伏せていたのだろう。
総合結果、能力は高い方で知能派、だが自分より弱いと判断した者に対しては自信で動き、油断を見せてしまう。
魔力、召喚、技術は高いが、知識と知能、戦闘センス、経験の浅さのお陰で、まだまだ伸びるタイプだろう。
こうやって、頭の中でカルテットを診断するように考える。


「我等を守る、無色の盾」
攻撃呪文を唱えているクリスと俺に盾を張る。

「エトラコールド!」
クリスの右手からはに氷の刃が発せられる。
双子の男達に発せられた氷の刃はヒュッと音を立てて、目標に向かう。
だが、鬼は自身を盾に主人を守る。
鬼にはシールドを張っていたのか、氷の刃は粉々になる。
「な、なんなのよアレは!?ムカツクー」
・・・・・なんなんだお前は。

 

No.67

2004/03/15(月) 23:14:09

夜神

 

第2章 8話(本日2話目です)

 

ヤクラ+クリス 側

相手が油断しているなら、スピードに乗った攻撃がいいな。
クリスのバカは当てにならないので、俺はすばやく作戦を立てた。
見ると顔を真っ赤にして怒っている。
こいつは本当に…
「ハァ…とりあえずこっちにこい」
俺はクリスの手を引き、もう一度岩場の陰に隠れた。
作戦を話すためだ。
「何するのよ!!」
「同じ事と言わせるな、戦略的撤退だ。作戦がある。俺の言う通りにしろ」
そう言うとクリスはさらに顔を真っ赤にした。
どうやら逆鱗に触れたらしい。
「なによ。平民の分際で。私に意見するの?」
この期に及んでまだこんな事言ってやがる。
「分かった分かった。お前の意見はまた後でゆっくり聞いてやるから」
俺はクリスをなだめた後(これが一番大変だった)、作戦を手短に話した。
「はぁ。何言ってるのよ。そんなのあんたにできるの?あんたのミスで私まで失格なんて嫌よ」
クリスの顔には心配×100と書いてあった。
「大丈夫だ、心配するな。俺に任せろ」
俺は笑顔でそう言った。
クリスの顔がまた赤くなったようなきがするが気のせいか?


双子の兄弟+鬼 側
「また隠れたね。兄さん」
「大丈夫あそこは袋小路だ、逃げ道はない。あのバッジは僕達のものだよ」
「彼ら、弱そうで良かったね」
「ああ」
ヤクラの予想した通り相手は油断しきっていた。
そして、兄さんと呼ばれた方は鬼に岩を破壊するように命令した。

ヤクラ+クリス 側

「ウガー!!」
バンバンバン
どうやら岩を拳で破壊しているらしい。
さすが鬼だすごい力をしている。
おっと感心してる場合じゃない。
俺は急いでクリス背中におぶった。
そして、
「我が僕なる風の者よ。我の力となり、我の足となれ」
俺達は風を体に纏い浮き上がった。
バンバンバーン
鬼の手が岩を貫通し、崩れた瞬間、俺は高速で宙を飛んだ。
そして、鬼の脇をすり抜けるように飛んでいき、双子の兄弟に近づく。
兄弟は信じられないものを見るような目で二人を見ていた。
兄弟の真上に来た時、おぶわれていたクリスが氷球と炎球を兄弟にぶつけた。

ボゥ!!パリン!!

片方は炎に包まれ、片方は氷づけにされ、倒れた。
倒れると、炎は消え、氷づけも治った。
どうやら、気絶すると勝手に治るようになっているらしい。
「よっしゃぁ成功!!」
ヤクラはそう言って着地した。
「まあまあね」
クリスはこう言っているが顔は嬉しそうだ。
主人がいなくなった鬼はいつのまにか消えていた。
「バッジ2個ね。どうせだったら先に一組倒しておいてくれたら良かったのに」
そう言いながらクリスはバッジを毟り取った。

 

No.68

2004/03/16(火) 02:06:41

少年アリス&(ネタは)麻

 

Re:第2章 9話

 

バッチを拾っているクリスを呼ぶ。
「オイ、クリス。これ持ってろ」
2つの魔具をホオリ投げる。
それをワタワタとキャッチして俺の方を睨む。
「なんのマネよ?」
なんで黙って受け取らないかな・・・・。
「今のでお前の使っちまっただろう?お前がピンチになる確率の方が高いのだから、お前が持っているほうが生存確率が上がる」
つまり、俺はピンチになるハズがない。
そして、お前は弱いのだから、アイテムで補え。
そう言う意味を含んだ言葉だった。
「こんなもの・・・要らないわよ!!」
どうやら人の施しは受けず、逆にその施しを何所かに投げる風習があるらしい。
クリスは俺が渡した魔具を遠くに投げ捨てた。

・・・・・・・・ドッ・・・・・
パァァァァァァ゛ァァァァァァン!!!


・・・・・
「何か・・・凄い音したわね・・・・」
「そうだな・・・・確かアレって敵意を持つ相手に発動するんだよな?」
「・・・・そうだったような気がするわ」
・・・・・・・・・・・・
「ちょっと、行ってみるか」
「・・・・そうね」


2人して呆気に取られつつ、着弾したであろう場所に近づいてみた。



そこには1人の女性が倒れており、横には男性が「大丈夫か!?大丈夫なのか?」ユサユサ揺らしていた。

・・・・・・あぁ、当たったんだ(笑)

「(笑)とか小説に使うなんて、流石凡人ね」
「ハッ?知らねぇの?最近流行ってるんだぜ。おっくれってるー」
などと意味不明な会話をしつつ、相手の敵意を含む視線に気付く。

「お前達が・・・・お前達がキャシーを・・・俺の愛しい恋人を!!!」
このネタが解った人は凄いな〜。
左手に魔力を貯め、右手には紅色の魔具を構える。
「喰らえ、(1人)ワザリングハイトサンダー」
引っ張りすぎだそのネタ。
さっきかけたままの無色の盾が黄色と紅色に交互に色を変え、また無色に戻る。
驚いているのはクリスと攻撃してきた男。
クリスには盾を張った事は言ってないし、男はこの絶対防御に驚いているのだろう。
「流石俺」
呟くと男が叫び出す。
「うぉぉぉぉぉぉ、俺達の愛の結晶がぁぁぁぁぁぁぁあああああ」
泣いていた。
文通り、号泣しているのだ。
指を指してクリスが耳打ちしてくる。
「何アレ?あれも平民共の流行りなの?それに「俺達」ってなんで複数系?」
なぜだろう、読者の疑問をそのまま言ってるような・・・。
「気にするな。多分、俺達という部分はあそこに倒れている女性も含んでいるんだろう」


目が覚めたのか、女性の目に号泣している男性を目に止める。
「ヒ、ヒースクリフ、どうしたの!?」




筆者が飽きたので中略。




「はぁはぁはぁ・・・やっと倒せたわね」
「そうだな・・・・主に体術のみの戦いだったけど」
こうして俺達は合格点を手に入れた。
だが、ここからが本当の戦いだった。

「そう言えば、制限時間を言っていなかったようだ」
いきなりスピーカーから声がする。
「改めて、制限時間は、今日の午後12時までだ。奪われたバッチを奪い返したりしても良いので、頑張りたまえ。健闘を祈る」
こうして、バッチ死守のサバイバルが始ま・・・・・始まる?

 

 

 

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