くりえいしょん。

 

 

 

 ソフィアは一人工房の中にいた。外ではお天道様が今さっき沈んだ所。

「うーん……ちょっとスパイスが足りないかな」

 いい香りのする鍋の中に、胡椒を入れる。お玉でかき混ぜてもう一回味見すると、今度は丁度いい。

 鍋の中には大量のシチュー。本当は六人分でいいんだけど、フェイトとクリフとアルベルは三人前を当たり前のように喰らうから。

「ソフィアちゃん、ただいまっ」

「おかえり」

 ソフィアが振り返るとそこにはスフレがいた。ここまで走ってきたのだろう。肩で息をしている。

「ソフィアちゃん。あたしに料理教えて!」

 帰ってくるなり叫んだスフレ。理由は何となく解かるけど、一応訊いておく。

「どうしたの、突然」

「だって、アルベルちゃんが、料理できるやつのほうが良いって……」

 やっぱり的中。

「そういえば、アルベルさんは?」

「アルベルちゃんがね、買い忘れた物があるから先行ってろって言ったから、あたしは知らないよ」

 彼らしい。どうせスフレと一緒に帰ってくるのが恥ずかしいからだろう。

 ここを出た時も本当は別々だったわけだし、可愛らしい限りだ。

「ねぇソフィアちゃん。どうやって料理が出来るようになったの?」

「どうって……うーん……」シチューをかき混ぜながら「私の場合は、作るしかなかったからいつの間にか出来るようになってた……って感じなんだけど……」

 お母さんとお父さんが家にいたという記憶が少ない。むしろフェイトと家にいた記憶の方が多いくらいだ。フェイトの両親も研究が忙しくて家にいる事が少なく、二人でいたときが少なくなかった。確かに兄弟っぽく暮らしてきたとは言え、何かあったっていいと思うのだけれど。

 とにかく、料理を作るのがもっぱらソフィアの役目になっていたのだ。

「ソフィアちゃんの料理手伝ってればさ、上手になるかな?」

「なるかもね」

 独学で学んだとは言え、初めはお母さんの料理を手伝った記憶がある。

「今日は出来ちゃったんだよね?」

「うん」

「よし、じゃあ明日から手伝おうっと」

「アルベルさんに食べてもらうんでしょ?」

「うんっ。美味しいよって言ってもらうんだ☆」

 ソフィアは微笑した。スフレがアルベルに食べさせている光景がすぐに目に浮かぶ。

 あぁ、もう一つ、料理を始めるきっかけがあった。

「ただいま」

「ただいま」

 片方は元気よく、片方はやる気のない声。

「フェイトちゃん、アルベルちゃん、おっかえり!」

 言うなりスフレはアルベルに近づいて飛びついた。アルベルは邪険にかつ優しくそれを払う。

「アルベルちゃんのために、今度プリンを作ってあげるね」

「俺は甘い物は好きじゃない」

「共食いだからじゃないの?」

「誰が共食いだ!」

「わーい、アルベルちゃんが怒ったー!」

 アルベルは捕まえようとするが、スフレはぴょんぴょんと跳ね回りながらアルベルの手をかわしてゆく。その身のこなしはやはりサーカス団で培われたのか。

「ソフィア、ただいま」

「おかえり、フェイト」

 フェイトがこつこつと近づいてくる。いつも通りのアルベルとスフレのやり取りに、しょうしょう笑いをこらえながら。

 フェイトはソフィアの後ろから、お鍋の中をのぞきこむ。

「今日はシチューか。少し味見いいかな?」

「どうぞ」

 お玉で汁をすくって、口へと運ぶ。スパイスの効いた香りが鼻腔をくすぐる。

「うん、いつも通り美味しいな」

 

 もう一つのきっかけ。子供の頃、初めて料理を作ったとき。

『うわぁ、これソフィア一人で作ったの?』

『うん。一人で作ったのは初めてなんだけど……どうかな?』

 

「こんなに美味く出来るようになったのも、フェイトのお陰なんだよ」

「僕が?」

「子供の頃は積極的だったのになぁ」

「なんのことだよ」

「な・い・しょ」

 口に人差し指を当てて意地悪に微笑んだら、こつんと頭を小突かれた。

 

『すごく美味しいよ。すごいね、ソフィア料理の才能あるよ。こんなに美味しいご飯作れるんだったら、僕、ソフィアと結婚しようっと』

 小さなきっかけ。

 この言葉が、私にやる気をクリエイションしてくれたに違いない。

 

 

 

 

 

  HR

 

      …………暴走しすぎた。

      アルスフかと思いきや、なぜかフェイソフィになっている。おそろしや。

      ちなみに、マリアとクリフは屋外で虚しく談話していました。

     マ「あんな状態の部屋に入れるわけないわね……」

     ク「相手がいない奴等の気持ち考えろっつーの」

     マ「あなたにはミラージュがいるでしょ?」

     ク「ここにいなきゃ同じだ」

       などなどw

  

  ブラウザで戻ってね(爆)

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