チャリンコ奮闘記(でか!)

 

これは、豆野  雨梨(ずのうなし)性別男、15歳が繰り広げる、お笑い奮闘記である。

 

俺は今、最大の難関に陥っている。チャリンコで、2キロ先のスーパーまで買い物に行かなければならない。

何が難関だって?

チャリンコを馬鹿にするなー!

チャリに乗り、空を切る。チェーンの音がまた心地よい。ギアを変え、早さを操る。まさに俺は創造主になったかのように……。

こほん。しばしば、あつくなってしまったようだ。

これは、母さんの一言によって、始まりを告げる。

「雨梨〜。卵一個に、牛乳5ポンド。それと、奴隷一匹狩ってきて」

えっ。買ってきてじゃないかって? 何馬鹿なことを言ってるんだ。

スーパーでは、買うのではなく、狩るのが普通だろう。

「やだ」

俺は即答した。当たり前である。大体子供を使う親なんて、時代錯誤だろう?

いまは車だってあるし……、おっと、自転車を馬鹿にしたわけではないぞ。それに―――

「帰りにたくあんでも狩って来ていいから」

「行きます」

即答する俺。

たくあんという言葉に俺の頭は混乱してしまった。

あの、黄色い円。食べるとしゃくっと音がして、頭が真っ白になる。

あれがたまらない。たくあんは俺の大好物だ。

おっと、またもや、自分の世界に入ってしまった。いかんいかん。

俺はピストルを持ち、外に出た。何かと外は物騒だからな。

ここからが俺の災難だった。俺が外に出たとたん、母さんがドアの鍵を閉めた。

外では猛然と嵐が吹き荒れていた。

「何だこれわー!」

俺は叫ぶ暇もなく、塀にたたきつけられた。ものすごい風だった。

ふと俺は何かを思いだした。昨日のテレビで、

『明日、巨大な台風がニフォンレッチョウを飲み込むでしょう。この台風は、今までに観測したことがないほど大きく、今のところ、最大瞬間風速1390メートルが確認されています。台風の中心の気圧は、0.4ヘクトパスカルで、大変危険ですので、今日、明日にかけては外出しないで下さい』

こんな事を言っていたのを思い出した。

俺は見る見るうちに青ざめた。

「あのおねーさん、家からテレビ局まで外出してるよ。大じょーぶかなぁ……」

そんな心配をよそに、どんどん風が強くなっていった。

すとん。という音とともに、枝が俺の顔をかすり、塀に突き刺さった。

このとき俺は恐怖を感じた。

「あぁ、俺は死ぬんだ・・・。短い人生だったな……。いろいろあったなぁ。

 3歳の時、母さんに崖から突き落とされ、

 7歳の時に、母さんにジャングルに放り込まれ、

 12歳の時に、母さんが『あなたは、世界征服をしなさい』って言った後、

 アフェリィキャの軍事基地に放り込まれて……。

 そして今、母さんのせいで死の危機に直面している……」

俺は、自分の言っていることを少し分析した。

母さんは鬼ですか!?この答えが出るのに2秒もかからなかった。

石や枝が、漫画のごとく俺の体に沿って塀に突き刺さる。

「さようなら……」俺は死を覚悟した。アディオスみんな。

俺はチャリにまだ乗ってないのにね……。

んっ? チャリ? そうだ! チャリ(たくあん)が俺を呼んでいる。

こんな台風なんか負けてられるか!そのとき、風がいきなり強くなった。

俺が寄りかかっていた塀は、たちまちもげ、空のかなたに飛んでいきそうになった。

負けてられるか! このやろー!

「うおー!!!!!!!!!」

俺は叫んだ。精一杯叫んだ。

あたりに俺の声が響き、その震動で大地が揺れ、風が一回やんだ。その衝撃波は、空に達し、雲を粉々にした。

台風は消滅した。やればできるもんだ。

    教訓   『人間、生きる気になれば何でもできる』

「生きてるって素晴らしいなぁ」

とにかく、俺は吹き飛ばされずに済んだ。

周りを見渡してみた。何も壊れてなく、飛びそうだった塀までも、元通りになっていた。

そのとき、神の声が聞こえた。

−壊れてると、後々面倒になるんだよ−  紛れもなく作者の声だった。

だったら、初めから台風来てないようにすればいいじゃん。浅はかだねぇ。

とりあえず、俺は自転車にまたがり、買い物に出かけた。

あぁ、たくあんが待ち遠しい。

風を切るように進んでいく。やっぱりチャリはいいねぇ。

しかし、ふと気づいた。これは奮闘記だ。無事にスーパーに着くはずがない。

まあ、どうにかなるだろう。そう考えているときだった。

目の前に、よくモグラ叩きゲームで出てきそうなモグラがひょこっと目の前に出てきたのだった。

ここ道路だぞ!?

期待通りに、俺はそれにつまずいた。

宙を飛ぶ俺。いきなりこれか?首から落ちたら死ぬぞ?こぼす愚痴はいくらでもある。

高さ10メートルまで上昇した。俺はハンドルを握りしめていた。

そのおかげで、俺は助かることとなった。見事に空中で、46回転半ひねりの大技を決めた俺は、うまい具合に地面に着地した。

「生きてるって素晴らしいなぁ」

俺は、本日二度目のせりふを吐いた。

そして、少し気持ちを落ち着かせるために、チャリを止めることにした。

すると、チャリのかごの中に、次々とお金が入れられていった。

あの大技を見ていた人が、俺にお捻りをくれたんだ。

かごがあるっていーなー。このとき俺は実感したね。

感激で一杯である。これで、たくあん大量狩り計画ができるぞー。

あ、言い忘れたけど、狩るのにはお金が必要だ。

俺は喜びに浸ったまま、チャリをこぎ始めた。

しかし、よそ見をしていたのが間違いだった。

俺は、電柱に正面からぶつかり、チャリごと倒れてしまった。

お金がすべて、どぶの中に消えていってしまった。どぶの深さは20メートル。

取れるはずがない。

  教訓         『楽ありゃ苦あり』

見事に、たくあん大量狩り計画は木っ端みじんに砕け散った。

……とほほ。

 

悲しみををこらえつつ俺はチャリをこぎ出した。

そして、スーパーまでの道のりで最大の難関にたどり着いた。

45°の坂。別名『心臓の他、身体もずたぼろになる坂』だ。

「遠回りしていくか」

そうつぶやいた俺の脳裏に何かがよぎった。

まずい !今日は『はみぱんマン』をやる日だ!

俺はちらっと時計を見た。放送まで、後30分。急がねば!

俺は意を決してのぼり始めた。

太陽がじりじりと照りつける。

まるでピンポイントで俺を狙っているかのようだ。

くそ、黒い服なんか着て来るんじゃなかった。

半分ほどのぼったときだった。俺の脇を誰かがものすごいスピードで

通り過ぎていった。

そいつの名は、『場家 巣儀瑠(ばかすぎる)』だ、俺の永遠のライバルだ。

巣儀瑠は俺を抜いた後、俺の方を向き小馬鹿にしたように笑うと、

そこの角を曲がっていってしまった。むかつく。ひじょーに腹が立った。

奴が曲がった角にたどり着いたときだった。

早くスーパーたどり着かなくては、という心と、

あいつを倒すという心が頭の中で戦っていた。

見事に後者の余裕勝ち。

俺は勢いよく角を曲がった。目の前に優々とチャリをこいでいる奴の姿が見える。

俺はスピードを上げ、奴を抜いた。

そして奴の方を向いて、笑い返してやった。ざまあみろ!

これで奴が引き下がるわけがない。奴もスピードを上げ、俺を抜こうとした。

引き下がってたまるか! ここからは意地と意地の張り合いだ。

ここからの道路は、100キロメートルもの、直線道路だ。

俺がスピードを上げると、奴もスピードを上げる。

スピードは時速100キロを超えた。徐々にスピードを上げていった。

しばらくたったときだった。激しい衝撃波が俺達を襲った。

音速を超えたのだ。ただいま時速1300キロ。

衝撃波なんかに負けてられるか! 奴も同じ思いだ。

すさまじい衝撃波で周りの物が次々と吹っ飛んでいく。

これは危険すぎる! そう判断した俺は、スピードを時速500キロまでに落とした。

奴も同じくらいのスピードに落とした。何か妙なところで気が合うなぁ。

俺と奴が競っていると、目の前に、かなり車通りの多い道が見えてきた。

さすがに死ぬのはちょっとなぁ……。俺はスピードを落としかけていた。

前を見てみると、俺と奴のあこがれの女子『河居 杉(かわいすぎ)』が

歩いているじゃあないか。ここでスピードを落としたら男が廃る。

俺達はかまわずつっこんだ。

奴はそっこーで引かれた。ざまあみろ。

対して俺は、華麗に車をすべてよけ、道路をわたりきろうとしていた。

やったぜ。これで俺の勝ちだ!

しかし、俺は忘れていた。この交差点がT字路だということを・・・。

 

俺は、死の狭間から何とか生き返り、何とかスーパーまでたどり着いた。

今は5:00。はみぱんマンが始まる時間だ。もうしょうがない。

はみぱんマンはあきらめよう……。しかし、たくあんが俺を待っている!

俺はスーパーに入ろうとした。俺は固まった。

なんと、スーパーは臨時休業……。

しかし俺は冷静だった。俺は近くの家のインターホンを押した。

「すみませーん。はみぱんマン見せてもらっていいですか?」

こうして俺のチャリンコ奮闘記は終わった。

余談だが、たくあんは漢字で『沢庵』と書くらしい。

 

TO BE CONTINUED

 

HR

続かない可能性99.999999%

何!?続く可能性がわずかにあると!?

こんな馬鹿話。俺にはまったくもって……

むいてるな

書いてて楽しいし。はみぱんマンが見所。久しぶりに読み直して爆笑してしまった……不覚

 

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