Sixth Day

Chap 1

 

 

 

 小さな路に小さな命があった。雨と言う景色を背負い、その場の静寂に浸っていた。

 泣けばどれだけ楽だろうか、ただ彼女はその術がただのまやかしで、結局どうにもならない事をこの上なく承知していた。どんなに泣いても騒いでも喚いても喘いでももがき苦しんでも、誰も彼女に手を差し伸べようとしなかった。見て見ぬふりなんてもう見飽きていた。彼女は人間が嫌いになった。

 雨は命を削っていた。近くに食べ物は無かった。探しても見つかるのは冷たい水だけだった。それでもここを離れずに座り続けたのは、もう古びてボロボロになっているその布団に、小さな愛情があると、心のどこかで信じていたからだろう。

 雨だった。今日も雨だった。いつもと何も変わらない、そこに違うピースがあること以外は。

 制服姿の少女が風景に入り込んでいた。少女は膝を折って、彼女を見つめていた。その目では慈愛と絶望が激しく渦巻いていた。少女は一言ごめんなさいと言い、立ち去ってしまった。

 彼女には理由が大体解かっていた。あの少女自身は自分を連れて帰りたいと思ったのだろう、しかし家が、家族がそれを許さない。彼女は少女の後ろ姿をじっと見つめていた。いつもだったらそんな少女を罵倒するのだ。どんな時だって、後ろに理由が無くたって、あんたは私を連れて行こうとはしないのさ。しかし、今は出来なかった。もう見えない背中が嫌いではなかった。

 時間を置いて、次は制服姿の少年がその風景に入り込んだ。彼女は人間の男が嫌いだった。この五日の間に何度か石を投げつけられていた。それは男の子だった。彼女は頭がいいから、特定の男の子しかそれを行っていない事は解かっていた。周りの男の子がそれをやめさせようとしていた事も知っていた。でも、結局彼女を傷つけることしかできなかった。

 少年は彼女を抱えた。彼女は少年を睨んだ。少年は微笑んだ。

「いつもの道で工事がなかったら、気づかなかっただろうな。よかった」

 彼の目は慈愛に満ちていた。しかし彼女は見てしまった。奥の奥、そのまた奥に、やはり黒い絶望が渦巻いていた。

 なんとなく、先ほどの少女と少年は似ているように思われた。でもやはり人間の男は嫌いだった。彼女は少年を睨んだ。

「寒かったろ。もう大丈夫」

 その一言が途方もない救いのように聞こえた。もう平気なんだと、無条件に思えた。彼女は緊張を解いた。思わず心からの声を出してしまった。

「にゃぁ」

 少年は微笑んだ。

「うちには何もないけど、我慢してくれよ」

 風景から彼女と少年は消えた。

 

 

 

 HR

 

    サブタイ通り導入文なので、短く、短く。

 

 

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  白の裏話。

 

   えー、流石に今回はないですよ。あぶったのは無・駄・骨☆(ウザくてすいません)

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