Fifth Day

Chap1

 

 

 

「――って事があったんだ」

 スパイクに履き替えながら、達巳は陽平に昨日の出来事を告げた。昨日の出来事のせいで幸天への部活動紹介が出来なかったのだが、今日は絢と日和に一任してしまったので気兼ねなく部活動に参加できる。スパイクの紐を縛り終え顔を上げると、陽平は摩訶不思議な出来事を聞いたような、呆けた表情でこちらを見ていた。

 当然の反応だろうと、達巳はそう考えていたのだが、陽平はこんな事を口にした。

「達巳、嘘上手くなったな」

 え? と、今度は達巳が呆ける番だった。陽平は小さな声でぶつぶつと呟く。

「という事は、幸天ちゃんのことも嘘か? 天使ってのは嘘っぽいと思ってたのは確かなんだけどな。でもあの能力見せられたら……」

「おれ嘘なんかついてないよ?」

「……そうだよな、一朝一夕で嘘が上手くなるなんて思えないもんな」

 その時道則が部室に入ってくる。掃除があったので少し遅れての部室入りだ。道則は二人の近くに来て、何か思い悩んでいる陽平を見て訊いた。

「どうしたの?」

「お、みっちー、今達巳が変な事言ってたんだ」

「変な事?」

「そうそう。達巳、みっちーにも話してやれ」

「解かった。昨日、幸天に学校案内してたら―――」 

 二度目に話し終えた頃には、道則も呆けたような表情で、さらに部室にいたサッカー部員全員が呆けてこちらを見ていた。確かに変わってはいるがここまで人の気を引く話だろうか? 達巳は少々焦りながら、

「みんななんでこっち見てるんだ?」

「あのな達巳」

 陽平が達巳の肩をつかむ。いつになく真剣な表情だ。

「別棟の四階だろ?」

「ああ」

「達巳君、本当にそこなの?」

「うん」

 道則すら真面目な顔になって、いったいどうしたものかと眉根を寄せた。

「達巳、別棟は、三階までしかないぞ」

 頭の中をぐるりと、陽平の言葉が回転した。意味が分からず呆然としている頭、しかし身体は異常を覚えがたがたと震えていた。

 挿げ替えられていた記憶が、すべて崩壊していく。別棟に四階など無い。生徒会のメンバーにもあんな奴らはいなかった。その前にこの学校にもいないはず。

 じゃあ、昨日の出来事は、なんなんだ?

 解明の鍵は、現実の記憶の片隅においてあった小さな記事だった。達巳の脳みそはスーパーコンピューターの如くそれを瞬時に引き出し、情報を公開する。

 八年前、学校の一大改革が行われた。堅苦しく、華やかさも無く、無駄に模擬店の多かった文化祭の改革。活気のなかった体育祭を根本から作り直し大成功を収めた改革。学外行事の多様化――ボランティア活動などの追加、意義ある修学旅行への変更。さらにすべての収支を調べ上げ、今まで無駄になってきた予算を削り、少なすぎた所へお金をまわす予算改革。学校のすべてが生まれ変わったと言ってもいい年の立役者は、もちろん生徒会だった。その中心人物三人は、しかし学校改革を半ばにして、帰り道にトラックに跳ねられあっけなく他界してしまう。

その三人の名前は神谷、桐口、西原―――。

 声にならない悲鳴が上がり、そのまま達巳は失神した。その同じ頃別の場所で幸天が失神したが、お互いの知るところではない。

 

 

 

HR

   というオチなのでした。ちゃんちゃんってね。

   やっぱり怪談にしてみたかったというか。……無理やり?

 

 

 

4−3へ  5−2へ  TOPへ

 

 

 

  白の裏話。

 

 そしてぶっちゃけますと、この話、本編に全然関係ありません(爆)

 あ、でも全然ではありません。微妙に関係してきます。する所があります。というかさせます。……するかな?(ぇ

 

次の白の裏話からは少しキャラクター考察を。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送